2018年3月14日水曜日

551 A week before Vernal Equinox Day


It's White Day
  in White World!

Are you feeling Spring has come, or still chilly? Here in the arctic region, it's still cold! But don't worry, we're OK, because we have these traditional wears of our tribe!




And..




kiviyak or just seals?




えー、"production 75mm"です。姉妹ブログ"pax fantasica"が、演目というよりむしろかつてのこちらのキャラクター紹介ネタのようになってしまっている中、こちらはこちらですっかりYouTube公開のブログと化してしまっています。。

あまりにひさしぶりすぎてどんな感じで書いていたのかあまり思い出せませんので、フリースタイルでいくとしましょう。。

主人公は、アドオンの6559

※写真は、セット外からも2人追加しています。大型セットの極地探検隊の中にいた同族のおっさんと女子ひとり。本来の6559は4人家族とハスキー犬、あと鍋セットです。



さてみなさん。こちら、6559、何て呼んでますか?

きょうは、ふとしたことから時代と共に変わるプレモの世界の一端を垣間みたので、ご紹介です。



まず、Googleに、「playmobil Eskimo family」「プレイモービル エスキモー 家族」と入れてみましょう。実はこれでは6559は、ひっかかってきません。

その場合に出てくるのは現行製品であるこちらとは違う、旧パッケージ。3465など、すごく昔のヴィンテージものも、eBayや国内のオクにもたくさん出てますね。

そう、当時はそう呼ばれてたみたいなんです。

でも…
今回のリリースにあたっては、ちょっと名前が変更になっているみたい。

ではためしに、同じくGoogleで「playmobil Inuit family」「playmobil イヌイット 家族」って入れてみてください。

6559がヒットしますよね?

ちなみに、playmobil USAの公式サイトでは、"6559 Arctic Family"となっています。

※いずれDiscontinuedになった場合にリンク切れするのでサイトトップにリンクします。品番で検索してみてください。

playmobil UKはどうでしょうか。同じ英語で、こちらも"6559 Arctic Family"ですね。

本国ドイツでは?

"6559 Polarfamilie"

ドイツ語でも、極地の家族、ということで同じようです。

ではさきほどなぜ、"playmobil Inuit family"でひっかかったかというと、よくみると、AmazonやeBayの掲載商品名がこうなっているようです。

国内では、プレモランドさんが「6559 イヌイットの家族」の名前で商品掲載していました。

一方、トイパラさんは「6559 エスキモーの家族」で、旧製品を踏襲しているようです。


うーむ、何やらややこしい?

これ、実は「エスキモーかイヌイットか」っていう、とてもフクザツで根深い、永いこと議論になっているテーマに関係してるんです。ただ、現時点では、どちらの呼び方も正解、ってことになってます(と思います)。


そもそもずっと以前には、極北に棲む彼らのことは、この国でも英語圏でも、エスキモー/Eskimoとして知られていました。もっと南に棲む別の部族から、「かんじきを編む人々」という意味で名付けられたとか、「ニクを食べる人たち」って意味だとか、諸説あります。

ただ、詳しい方はご存じのように、しばらく前から彼らをイヌイット/Inuitと呼ぶことが多くなってきていますよね。

実はGeneも当初は、きっともうエスキモーと呼ぶのはNGなんだな、本人たちがイヤなんだな、これからはイヌイットって呼ぶべきなんだな、と理解していました。

ただ、ことはもうちょっとフクザツでした。

「イヌイット」という語と、「エスキモー」という語は、指している対象がちょっとズレちゃってるんです。


詳しくはこちら。ですが、少し引用しますと…

In the United States and Canada, the term "Eskimo" was commonly used by ethnic Europeans to describe the Inuit and Alaska's Yupik and Iñupiat peoples. However, "Inuit" is not accepted as a term for the Yupik, and "Eskimo" is the only term that applies to Yupik, Iñupiat and Inuit.


つまり、エスキモーという、ヨーロッパからの移住者たちが使い始めた呼び名は、イヌイットに加えて、アラスカに棲むユピクイヌピアットという、別の極北先住民をも含んでいる、ということ。
※ユピクはアメリカ大陸だけでなく、ベーリング海峡を挟んだロシア極東部すなわちシベリアにも居住しています。

そして、エスキモーという名は、外部の人々からの呼び名(他称/exonym)なので、イヌイットの人たちは、イヌイットって呼んで!っていうことなのでしょうが、これまでエスキモーと呼んでいたところをすべて置き換えてしまうと今度は、ユピクやイヌピアットの人々が、おれたちはイヌイットじゃない!…ってことに、なるというのです。

もう少し引用を続けますと…

Since the late 20th century, aboriginal peoples in Canada and Greenlandic Inuit consider "Eskimo" to be a pejorative term, and they more frequently identify as "Inuit" for an autonym. 

20世紀末から、カナダのイヌイットとデンマーク領グリーンランドのイヌイットは、"エスキモー"という呼び方は蔑称だと考え、みずからを"イヌイット"と呼び始めました。

In Canada, sections 25 and 35 of the Constitution Act of 1982 classified the Inuit as a distinctive group of Aboriginal Canadians who are not included under either the First Nations or the Métis.

カナダでは、憲法で、イヌイットを、「"First Nation"でもなく、"Métis"でもない、カナダ領内の先住民の特定のグループ」である、と定義しています。
※詳細は省きますが、First Nationとは、アメリカ合衆国でいうNative Americanに近い概念で、太平洋北西岸に棲む部族がその優れた芸術作品/民芸品、生活様式とともによく知られています。

ちなみに、ユピクイヌピアットの項目をみてみると、ユピクはアメリカのアラスカと、ロシアに居住しており、イヌピアットはアラスカにのみ居住しているように書かれています。すなわち-ごく少数の例外はあるかもしれませんが-カナダには、ユピクとイヌピアットは「そもそもいない」ということになりますね。

このためしばしば、「カナダでは、エスキモーという言葉は、望ましくない。イヌイットというべきだ。」なんて風に表現されていることがあります。これはある意味正解ですね。カナダには、イヌイットのみが暮らしていて、憲法でも、彼らをイヌイットとして定義していて、彼ら自身も、エスキモーと言わないで!イヌイットって呼んで!と言っているのですから。

では逆に、アメリカでは、エスキモーと呼んでも構わないんだよね?というと、どうなんでしょう。

さきほどの定義からすれば、アラスカにはイヌイットもユピクもイヌピアットも暮らしていて、その総称として"エスキモー"という語がいまも使われている、意味をなしている、ということになりますが?

こんどは、Eskimoの項目から引用してみます。



Eskimo is an English term for the indigenous peoples who have traditionally inhabited the northern circumpolar region stretching from eastern Siberia (Russia), across Alaska (of the United States) and Canada, to Greenland.

範囲の定義はさきほどと同じですが、Eskimoというのは、英語だ、とはっきり書かれていますね。

The word "Eskimo" derives from phrases that Algonquin tribes used for their northern neighbors. The Inuit and Yupik peoples generally do not use it to refer to themselves, and the governments in Canada and Greenland have ceased using it in official documents.

もともとは、アルゴンキン語族話者である先住民が、北方に棲む人々のことを指して呼んだ言葉だそうです。

そして、イヌイットとユピクの人々はみずからのことを指す時に「エスキモー」という語を使わないので、"カナダとデンマーク領グリーンランド"では、この言葉を政府の公文書で使用することを、辞めた、とあります。

言い換えると、アメリカ合衆国とそのアラスカ州政府は、そしておそらくはロシア政府も、まだ、Eskimoという語を使っている、ということなのだと理解できます。少なくともこの記事が書かれた時点では。

ザンネンながら軽く調べた限りでは、アメリカやロシアの極地の人々自身はどう呼んでほしいと言っているのか、エスキモーと呼ばれることにどう感じているのか、情報はみつかりませんでした。


ところで、まだイヌピアットとは何かの説明がないぞ!という鋭い方のためにちょこっと補足しておくと、ユピクは、イヌイットとはある程度異なる文化や言語を持っているのですが、実はイヌピアットはいわゆるイヌイットと呼ばれる人々と、文化的言語的に連続していて、広義でいえばイヌイットに含めて考えることもできるそうです。その呼び名も、イヌイットとイヌピアット、共に、「ヒト」を意味する「イヌク」という語が元になっているとか。ただ、居住地域が異なるイヌピアットの人々は、じぶんたちをイヌイットと明確に区別しているので、別な民族名(=イヌピアット)で呼ばれることの方が多いようです。

つまり…

かつてプレモでは、英語での総称であるEskimoを使っていた。でもその呼び名は、カナダでは法律上も使われなくなったし、カナダやグリーンランドのイヌイットは明確にイヤがっている。(もしかするとアラスカやロシアでもイヤがられているのかもしれない。)

ただ、イヌイットって名付けてしまうと、この家族は明確にイヌイット(とギリギリイヌピアットも含む)の人たちであって、ユピクじゃないよ、ってことになってしまう。両大陸のあいだのアリューシャン列島の先住民であるアリュートという人々もかなり近い成り立ち、文化、言語を持っていますが、その人たちでもないことになる。



そもそも、プレモの簡略化した造型の中で、明確にどこに棲む部族なのかを表現しきっているわけでもないし、、いずれ近いうちにアメリカでもEskimoって名が避けられるようになるかもしれないのだし、、そもそもプレモの非ヨーロッパキャラクターには物言いがつきやすいし、、^_^; 

ということなども踏まえて、今回、「極地の家族」っていうゆるい名前が、正式名称になったのではないでしょうかね?



はいっ!で、そこはわかったところで、さっきから気になるのはこのアザラシ!

えーっと。まず、この絵は、6559のセットではありません。中央のおっさんからして、違います。これ、大型セットの "9055 極地観測のイグルー"の一部です。そして、アザラシは、たしかアドオン。

Geneは、9055をこんな動画にしています。




これは"プレモランド&下北沢ZOOOで恐竜ハカセとして育ったこどもが30年後に地球連邦の宇宙飛行士になって木星の衛星エンケラドスに人類初の一歩を記し、さらに30年後にはその娘も科学者になってエンケラドスの入植地にやってくる"って話です。

ちなみにこの前の話後日談もあります。音楽が最近のとぜんぜん傾向が違うのは、Arturia MiniBruteっていうアナログシンセサイザーとギターを使って実験的に作ってるから。実験的…ということで。。

あ、下の動画の右端に、同じ部族の女の人も出てますね。でもこの人は9055の人ではないので出所不明…ひとつ前の世代の恐竜発掘極地探検だろうか…左の写真の手前の人です。

ですが、この動画は未来モノ、SFモノだったせいもあって、このおっさんと女の人、ほとんど出てきていなくって、、、というわけで、今回、登場してもらいました。


で、そうすると気になるのはこの猟銃^_^;

何やら、狩猟中のようです。当然です。喰わんがためっ!

それじゃあ、というわけで、いろいろ迷いましたがアザラシくんたちに蛋白源となってもらうことにしました。

で、イヌイット/エスキモーとアザラシといえばっ!

もやしもん読者の方々はよーくご存知ですよね。第一巻、のっけから。キビヤック。

めずらしく、英語版Wikipediaよりも日本語版のほうが充実してました^_^;




えーっと、なんでこの時期にこれ書いたんでしたっけ。しかもアップ遅れているし…えーっと、そう!冬が終わる前にってことと、ホワイトデー絡みで白い世界でした。



Happy White Planet!!