その421 Thanks Dad Special
それはgeneがまだ14歳にならぬ頃。はじめて与えられたコンピューター。
…と一緒に購入したゲームが2つ。それが、『Wizardry』と、、、これ。
『アシュギーネ
虚空の牙城』
- 1987年
- Panasonic / T&Eソフト
- MSX2
かつて存在したパーソナルコンピューターの共通規格MSX、その後継規格MSX2。当時はまだ国内の多数のメーカーがコンピューター市場への参入を試みており、ホームユース、入門機種であったMSX2もその例に漏れませんでした。このゲームソフトは、当時の松下電器がPanasonicのブランドで発売したFS-A1のビジュアルイメージとして創造されたと思われるキャラクター「アシュギーネ」を主人公にした、縦スクロールアクションシューティングゲーム。
記憶しているのは、、惑星Vi(ヴィ)、制御球、金属の海、金属生命体、三葉虫が絡みついた盾、二つの月、地下遺跡、砂漠、異種族の父と母、、、、
当時、"アシュギーネモノ"のゲームは二つ(いや三つ?)作られました。geneはその後、『復讐の炎』も購入しましたがやはり記憶に鮮明に残っているのは、『虚空の牙城』。どちらのソフトも、あまりその界隈の話題に出てきませんので、ゲームそのものとしては評価は低かったのかと思いますが、それでも、グラフィックの美しさ、音楽のカッコよさ、そして背景シナリオの世界観、これらが中二間近だったgeneの精神世界の形成に一役、いや、かなり重要な役割を果たしたのでした。
ぐぐっても、公式はもちろん、あまり情報が出てこない「アシュギーネ」と『虚空の牙城』。
YouTubeで実際の動画を観ることができますが、、、むしろgeneが関心があるのはそのストーリー部分。
断片的な記憶をたどると…
アシュギーネ。機械化された右眼(左眼?)と、長大な尾を持つ異形の姿。左手には、金属惑星の金属の海で憑りついた金属三葉虫が絡みつき、盾の役割を果たす。
父は惑星の騎士だったかラスボスの近衛師団長だったかで、確かギィとか?いやそれは別の固有名詞か。。
母は父が討伐に向かった反乱軍の重要人物の娘だったか。。
いずれにせよ、報われぬ恋、許されぬ恋の果てに産まれた異形の戦士、アシュギーネ。
サイボーグ化した眼を、暗視スコープで表現。例の特殊部隊LYNXの"ウォーズマン"、"ボトムズ"こと、ユーリ・ドラゴから拝借。「5565 SWATチーム」。兜に軽く載せています。
盾は、ゲルマンの蛮族(「4677 蛮族の戦士」)の盾に、三葉虫の代わりにサソリをくっつけています。(あ、ひっつき虫がチョコっと写ってしまった(>_<))
そして本体は、、緑のスケールメイルを着込んだ竜戦士(「4586 ドラゴン戦士」)。
尾は、同じく緑の竜の幼体を背後に隠して、尾だけ撮影しています^_^;
縦スクロールシューティングなのに、武器は剣?
ええ、そうです。この剣をジャキジャキっと突き出して戦います。う、射程距離短い…。
が、強化アイテムを手に入れることで、剣先からエネルギー弾を射出できるようになります。シューティングだからね。
リンク先で、移動速度が遅い、レベルアップしても変わらない、とあるのはそのとおりですが、これも、パワーアップアイテムで脚が速くなるブーツというのがありました。
で、究極のパワーアップアイテムが、この球。
"制御球"と呼ばれていて、惑星"ヴィ"(いや、"ヴ"だったかな…)の意思が、アシュギーネを伝説の聖戦士として認め、その付き人ならぬ、付き球として遣わしたもの。たぶん。
剣撃にあわせてビュビュンと前方向(左右振れ幅アリ)に飛んでいき敵を攻撃してくれます。
ちなみに写真はPokemonのなにか。。
宇宙モノであり、サイバーパンク要素もあり、というSF仕立てですが、アシュギーネの武装や絵柄には、ヒロイックファンタジーの要素も色濃く出ており、半裸に鎧、編み編みサンダル、などなど、コナンやグインを彷彿とさせる部分も。
これに応じて敵も、異星生物らしい造型の者に混じって、フードをかぶった神出鬼没の魔術師的なキャラや、鎧を着た、スターウォーズにおけるドロイド的な歩兵など、これまたファンタジーRPGの世界から飛び出したようなやつも。
設定においても、"惑星の二つの月が重なるとき、アシュギーネの力は…"のような魔術的要素も含まれていました。あ、制御球の出現条件が、月の直列だったかなあ。。。
…にしてもPanasonic、、、
任天堂がマリオ、セガがソニックと、明るく元気で、いかにもこどもの人気者!的なマスコットキャラを打ち出している時代にあって、なぜにこうも異形、異様、ダーク、パンク、ギミック、そしてサイバーなキャラを産み出したのでしょうか。。。
オープニング映像の終わりの、「A..sh...gu..i..ne..」という電子音的なキャラクターボイスも、ブキミでくらーい演出でした。
だが
しかし!
その異様な姿に魅了され、結果、その後30年近くに渡って、アシュギーネ的要素を含んだものに萌える人生を送り続けてきた少年も、わずかにはいたのです。
…少なくとも一人は…
天文、魔術、サイバーパンク、剣と鎧、義眼、三葉虫、有尾人、異種族婚、電子音、サイボーグ、月、機械生命、爬虫類、人体改造、遺跡、竜、転送、使い魔、異形のクリーチャー、等々は、ここ"pax fantasica"、"production 75mm"でも頻出のモチーフ。
直接的にだけでなく、その後に出逢った様々な作家の方々の様々な作品を通しても。
いま気になるのは、弐瓶勉さんの『BIOMEGA』に登場するヒグイデの、<<復物主>>発芽後の世界においてイヤークのイルンゴルヌルカを救出すべく占師チャイドドリンのところに向かった際の武装。イルンゴルヌルカの父であろう先代の王が使ったと言われる武具は、まさにアシュギーネ!腕に絡みつく金属生命体の盾!それに、同じく弐瓶さんの『BLAME!』における生電社主任科学者シボの周りを飛んでいるのは…まさに制御球!?『BLAME!学園』シリーズでは霧亥を派手につらぬいていました…
中二が愛するこれらのモチーフ。
geneにもたらしてくれたのは、アシュギーネ君と、、、そして、、、
FS-A1を与えてくれたMy Dad!
実は当時、例の任天堂の赤と白のマシンはNGだった我が家。理由は親父の「コンシューマー機はゲームで遊ぶだけ。PCならプログラミングを学べる。稼げる。」という考え。中学に上がったらMSX、と言われて任天堂をガマン。
で、ようやく買ってもらえたのがこれ。
当時確か5万円。純正ディスプレイなんぞ付けたものだからたぶん2~3万円アップ。Wizardry!が8,900円で、『虚空の牙城』が5,800円だったかそのくらい。結構な出費。
…結局、、、プログラミングは、BASICで考え方は学んで理解したもの、センスがなかったのか根気がなかったのか、みずからゲームを作るには至りませんでした…
当時としては、申し訳ないなあ、心使いを無にしたなあという後ろめたさもあったのですが、、
その後、10年を過ぎ、23歳になるころまでには、大学の研究にプログラミング知識を活かしたり、Webプログラミングで本書いてチョコっとだけ稼いだり、ちょっぴり早めにネットに接続して、いまの仕事に繋がるきっかけを得たり、と、親父の投資はムダにならなかったな、と、思えるようになれましたとさ。
A..ri..ga...to...u..
Dad!!
オープニング映像に流れるBGMは、少ない音色のせいから来る寂寥感の中に、メロディラインの美しさとテンションの高いハネるリズムが、清々しさを演出。ラストに来る「Ash..gu..i..ne」の声の後、ゲーム中続く鬱々とした昏く美しいグラフィックと血糊^_^;
最後にクリアした時、再びあの、清々しきBGMを聴き、感動するのでした。
geneが最初にクリアしたビデオゲーム。いまもおぼえているビデオゲーム。のお話。
バヌーティラカス!グール人とエリトリア人!それにアズムラル人!惑星ネペンテス!このあたりの語感もツボでしたねえ。というかいまそう思うだけで、ここで刷り込まれて好きになったのか、それとも好きだからハマっていたのか。。。
そうか、二つの月じゃなくって二連太陽だったか^_^;"ヴィ"は、惑星の名前じゃなくて惑星生命体の名前ね。。ガイア的な。。衛星ネオサンテ…覚えてなかった…これ、義眼に眼薬っていうダジャレか?
そして、、、敵対する二種族と空から来た第三勢力って、某TOMMYさんの「Z」と一緒だ…(>_<)あっちは惑星Zi、こっちは惑星生命体Vi、、、ううむ。。。
そして、、、敵対する二種族と空から来た第三勢力って、某TOMMYさんの「Z」と一緒だ…(>_<)あっちは惑星Zi、こっちは惑星生命体Vi、、、ううむ。。。
このゲーム、たぶんホントのシューティングファンとかアクションゲームファンにはぜんぜん物足りないものだったんだろうな。でもそのおかげと、同じくPanasonicの連射ゲームパッドというズルアイテムのおかげで、動体視力といわゆる反射神経(実際には身体の反応速度)がまったくだめだめだった当時のgeneにも、クリアできたのでした。。。まあ、ずいぶんな時間をかけて。
深い深い、中二萌えの世界。。。オヤジよ、期待と違う結果で済まぬ^_^; しかしホントにありがとう!