2015年12月22日火曜日

その482 Odin in the Winter Solstice 

そして…

いまこそ冬至り

氷雪の国より

北の果てより

大いなる神、至る


大神オーディン

ヴァルハラより  降臨!!



ある時は

つば広の帽子に

フードを着た

長いあごひげの

片目の老人の姿で

硬めの老人じゃないヨ!

あと、フードはホントは灰色だヨ!



供には

世界の報せをもたらす

大鴉のフギンとムニン

そして狼のゲリとフレキを従えた

老人は

知のためならば

その眼や命を差し出すこともあったという

そしてまたある時は

黄金の鎧に

青いマントの

戦士の姿で

神槍グングニルを構え

神馬の

スレイプニール

またがって


来たるべき

<神々の黄昏>

  ラグナロク にて

世界蛇ミドガルズオルム

魔狼フェンリル

あいまみえんがため


そしていま、時は、2015年、冬至。冬の極まる一日。太陽の黄昏。

嗚呼、惜しい!ことしの冬至が水曜日ならカンペキだったのに!^_^;


鴉は、朝日と共にやってきて哭く、太陽の鳥。

太陽の力の弱き地では、しばしば聖なる鳥とされた。




オーディン。

よく知られている神ですが、よくよく考えてみると結構フシギなお方です。インド・ヨーロピアン共通の神々といえば、ギリシアのゼウス、ローマのジュピター、ヴェーダのインドラなど、雷神がめだつ傾向にありますが、ここ古ゲルマンの世界では、雷神トールは主役の座をこのオーディンに譲っています。

老人。隠者。魔法使い。賢者。隻眼。放浪。帽子。槍。どれも、印欧語のセンターポジションにはない特徴な気がします。それもそのはず、このオーディンは、なんと、ギリシア神話におけるヘルメス、つまり、ローマのマーキュリーと同じ神格なのだそうです!商人、盗賊、走者の守り神たる、俊足の駆け巡る神。オーディンとヘルメスは共に、翼ある靴を履いていたそうです。

なるほど。ゆえに、オーディンとマーキュリーが共に水曜日なのですね。ちょうど、トールとジュピターが木曜日であるように。

ちなみに各地を遍歴した伝承を持つオーディンは、風の神とも考えられるとか。これってヴェーダにおけるルドラ神群マルト神群、後のシヴァに繋がる存在なのでしょうか?そういえば極東にも、暴風雨の神スサノオがいますが、これまた、さまよう伝説を持っている神ですね。

オーディン、トール、そしてロキをめぐる神話。神々の黄昏ラグナロク。ヴァルハラと戦乙女ヴァルキリー。ヨトゥンヘイムに住まう巨人ヨトゥン。アス神族ヴァン神族。ミドガルズオルム、フェンリル、そしてヘル。

このあたりの神話は北欧神話を語った数々の文章に詳しいのでここでは割愛。




そして、冬。

冬至ゆえの鴉フィーチャー。

カラスといえば、なんとなくいまわしい印象の漂う、禍々しき鳥。近代都市にあってはゴミ袋を破いて街の衛生にダメージをあたえる姿がしばしば注目されますが、それはニンゲンの勝手。

むしろ旧い時代には各地で、聖なる鳥とされていたと思われます。

たとえばここ極東でも、サッカーナショナルチームのシンボルで有名な、三本脚の烏、すなわち八咫烏がいます。後の時代には、陰陽師安倍晴明の手になる(とされる)『金烏玉兎集』という書物が編まれましたが、この金烏玉兎とは、太陽に棲むとされた三本脚の黄金の烏と、太陰すなわち月に棲むとされた兎、つまり、陽と陰を表す陰陽道の重要なシンボルでした。

ほかにも、アメリカ大陸北西部に存在する、トリンギット族などのNa-Dené系の言語を話す先住民の諸族やハイダ族は、鴉(ワタリガラス、オオガラス、Raven)を神聖なるものとして信仰しています。彼らの意匠の中に鴉を見つけた方も多いのではないでしょうか。

そしてここスカンディナヴィアをはじめとするゲルマンの北欧。主神オーディンの使い魔的な存在が、世界の情報をオーディンの元にもたらすフギンとムニンと呼ばれる二羽のカラス。ワタリガラスだと言われています。

この二羽は後に、黒い肌の小悪魔として、さらに近代に至っては通称ブラック・ピートと呼ばれるシンタクラースの従者として、永きに渡ってオーディンの供をすることとなります。

ちなにオーディンに仕える戦乙女ヴァルキリーもカラスとの関係が描かれており、これがのちの、魔女とカラスの描写につながったと考えられます。

実はカラス(特にワタリガラスは)数々の神話に登場する聖なる鳥


いったいなぜ、烏なのでしょう?


それは、冬至のこの季節。少し早起きして外に出てみればわかります。いまならちょうど、朝の6時~6時半ごろでしょうか。

まだ薄昏い空の深い蒼の宵闇が、わずかな時間のあいだに、白みはじめ、そして黄金の光差す暁がやってくる。その、夜と朝のあいだのほんの一瞬。あなたはきっと、カラスの声を聴くことでしょう。そしてその声は、夕焼け空の空高くを飛んでいく、どこか物悲しいあの声とは違い、朝の訪れ、暖かいしかし短い時間の訪れを喜ぶ、力強くも神々しい響きを帯びていることでしょう。

そう、カラスは、朝いちばんに、日の出とともにやってくるのです。

その後が、機械的な羽音を響かせてやってくる鳩、それからスズメたち、ヒヨドリははじめは尾を引く高い声で哭きながら高い木々の梢に留まって羽根を繕い、ずっと暖かい時刻になってからようやくあのにぎやかな声でさわぎはじめます。

なぜでしょうか。

もしかすると、フクロウやミミズクの支配する夜の世界がまだ終わりきらない日の出の時刻には、小さな鳥たちは怖がって出てこないのかもしれません。しかしカラスは大きな身体と巨大なクチバシを備え、高い知恵まで手に入れたので、夜の猛禽たちをおそれることはない。夜目こそ効かないものの、いの一番に暁の空を翔る力はある。

近代になって、早朝の街を荒らすキラワレモノになってしまったこの性質ですが、古代の時代、特に、長い冬、長い夜に倦んでいた高緯度地方においては、太陽の使い、あるいは、太陽の訪れを告げる鳥として、歓迎されたのではないでしょうか?ちょうど後に、ニワトリがその位置を占めたように。

ニワトリはインドや東南アジア方面で家畜化された、熱帯の鳥。

北においては、日の出を告げるのは、カラスでした。



オーディン(騎士バージョン)
 5477 黄金騎士クリストファー ペイガンカスタム
ヒゲが、鎧の喉当てがジャマでちゃんとつけられなかったのですが、そのおかげで片目が隠れて隻眼の戦士となりました^_^; 神槍グングニルは、どの槍にするか迷いました。ゲルマンの族長の槍か?トロールの握ってる槍か?それとも騎兵の突撃槍か?いやいやランスではなかろう…というわけで、ローマの槍になりました。しかしこれ、投げ槍なんですよね^_^; ジャベリン?まあ、南の文明国ローマからなぜか北欧にもたらされた先進の槍が、神の槍とされたってことで^_^;

オーディン(賢者バージョン)
 fi?ures series 8 boys 10 魔術師
なぜか半袖の魔術師。ええ、氷の魔法使いなので、北欧に。ホントは、fg 4-1のほうがグレーの帽子で、よりオーディンぽかったのですが、彼は悪役フィギュアなので^_^;
ところで、、、片側から撮って隻眼を表現するつもりが、撮影してみてみたら結局両目写ってるし、そもそも騎士バージョンと眼が逆だし^_^;^_^;


以上、冬至エピソード、クリスマス直前!!