その393
行ってきました!武蔵野市立吉祥寺美術館展覧会『小林路子の菌類画 きのこ・イロ・イロ』。
4月25日(土)は、きのこの画家として著書等でも知られる作家の小林路子さんのトークショウもありました。
厳選された70点の原画と小林さん自身による作品解説やきのこエッセイ、そして切手や食器類はじめきのこグッズコレクション。
また、帰ってから調べて知ったのですが、知る人ぞ知るらしい、そして次の連休に三鷹でまた作品を観ることができるらしい、木彫りきのこの作家 関内重男さんの作品に小林さんが彩色したというこれがまたなんともめちゃくちゃかわいいきのこたち20点ほどが!
…えー、ところで、ウリボウ君、バジャー君、そしてクマ殿よ、そのきのこは、おそらくベニテングタケ。食べてはいけませんぞ。
食べちゃダメ!
とみんなに言ってるのは伝説の名作(?)「4194 キノコの妖精の隠れ家」より、ベニテングタケの精。
ベニテングタケのなかまは、ベニテングタケ、ちょっとだけイボイボのすくないテングタケ、そして真っ白で美しいドクツルタケ、いずれも有毒だそうです。トークの中でもドクツルタケには、前列に座っていたきのこ詳しい方々が一様に反応されていたので、相当に有名なのですね。。geneははじめて、その絵をみました。
ただ、なかまのタマゴタケは、いただけるとか。うーん、でもたぶんみつけても同定できないんだろうな。
展覧会ではこのほか、シイタケ、ヒラタケ、マツタケなどの食卓でおなじみのきのこから、有名なキヌガサタケ、アミガサタケ、ツキヨタケ、コウタケ、マンネンタケ、それからホウキタケ、コガネホウキタケ、ムラサキシメジ、アラゲキクラゲ、ササクレヒトヨダケ、カラカサタケ。アシベニイグチ、キンチャヤマイグチ、オニイグチモドキ、ヤシャイグチなど多数の"イグチ"のなかま、スッポンタケ、キツネノタイマツ、カニノツメなどの怪しげなキノコ、等々。
アカヤマドリという名前にびっくり。
そして、カサの裏がヒダヒダでなくスポンジ状のを"イグチ"と呼ぶというのを知り。へー、確かに、スポンジ状のみたことあるよ!
シロキツネノサカヅキモドキ、名前長っ!
あ、あと、変形菌たちの絵も3点。真正粘菌モジホコリ!はありませんでしたがクモノスホコリがっ。
などなど。とりあえず覚えているのがこのあたり。でも、三周観て回ったので、絵はいまでも脳裏にくっきり思い出せます^^
しかし驚くべきは、これらのきのこが、信州や北海道、そして都内近郊をはじめとするこの国で観察され描かれたものだということ。知らずにみたらきっとそう思わないくらい、エキゾチックなきのこたちの大集合。キノコ王国ニッポン、ってよくいいますが、こんなに多様な種類がいるんですね~。
でも確かに、街路樹や草陰や芝生の上でみたことのあるきのこもありました。ちっちゃい三角の軸の細いのとか、ノウタケ?あのほこりを飛ばすやつとか。
日本、韓国、ロシア沿海州に生えるきのこってのが二つほどあったのも気になりました。恐らく、日本海がまだ湖だった頃の南岸一帯に生えてたってことでしょうね。太古を感じます。
トークショウは、ユーモアとウィットに富み、画家としての観点のほかに、きのこを菌類というひとつの生物として観たときの生物学的、または博物学的な観点、食べる、という観点、毒、身近な存在、そしてきのこを通じて出会った学者さんやキノコ採り師さんや写真家の人などさまざまな方のきのこにまつわる逸話満載で、単なる美術展覧会の作家さんのトークというだけでなく、きのことヒトをとりまく世界の一端を、垣間見ることのできた、たいへん貴重な時間でした。
きのこって何ですか?という問いへの小林さんの説明も、詳しい人から初心者まで納得できる、絶妙な深度とやわらかさで完璧。
って、偉そうに言うことはないのですが^_^;、ネットで調べると仙人だなんて呼ぶ方もいるようですが、徳の高さ、賢さ、物腰、そして事物や行為や人々に対する姿勢のすべてにおいて、尊敬できるなと感じる方。なるほどです。
キュレーターの方の質問の構成や間合い、気遣いも絶妙で、たいへん心地よいひとときを過ごせました。
感謝感謝。
そしてわかったこと。絵描きさんって、デッサンするのは、覚えるため、なんだなと。もちろん、輪郭をしっかり描いておこうというのはあるのでしょうが、デッサンをしっかり時間かけて行うことで、脳に覚えさせる、と。
なるほど。。。英単語や漢字書き取りで、実際に手で書くと覚える、と言われますが、絵も同じなんだなと。
うーん。すごい能力です。
写真に撮ってしまうと安心する。
写真に撮ってしまうとそこで脳が止まる。
わかります。
もちろん、小林さんもおっしゃっていたように、写真はそれ自体ひとつのメディアであり、写真を撮る行為は時としてデッサンをするよりも更に時間がかかることもあるそうですが、確かに、とくに、geneのように遊びでバシャバシャと撮っているとそんなにひとつひとつと格闘してはいないわけで、そんな中でシャッターを押した瞬間には、脳が止まっている、かも。
まあここでは、それをまたひっぱり出して解釈をしてキャプションをつけてキャラクターに命を吹き込む、ということでかろうじてまた脳を動かすわけですが、geneも、旅などではじめてであった風景に向かう時はまずはファインダーを覗かず、自分の眼と脳で観て、少しでもその感じるところ、奥行きや風や匂いを含めた情景ぜんたいを記憶にとどめるようにしていることはあります。ので、お話、よくわかりました。
「やあ、動物たち、はじめてだっけ?」
というわけで。
美しいきのこの絵画と、かわいらしいきのこの彫刻と、そして深い深いでも軽妙なきのこのお話に出逢うことのできた、素晴らしいイベントでした。関係者みなさま、ありがとうございました!
しかも入館料100円って!!
ええ、でも、このgeneですから、図録はもちろん、絵本、絵葉書などなど、たくさん持ち帰ったことは言うまでもありません^_^;
Happy Fungi!