2014年10月8日水曜日

その248 

Total eclipse ...

glows in the dark..
皆さん、ご覧になりましたでしょうか?

皆既月蝕

geneの住む地域ではちょうど欠けきる間際に雲が晴れ、赤い月がしばし夜空に浮かびました。

赤い月。通常の満月よりもずっと、ぽかんと虚ろに浮かんでいるようにみえて、ああ、あんな大きな石がなぜ空に・・・と感慨深く。


月蝕。いったい誰が…。

オレ?


ワレワレ デハ ナイッ!

ファーレンハイト ヨ ヌレギヌダヨナ

アア センティグレイド ヌレギヌダ

ヤツカ?ヤツデハ?

ダンクル・オステウス デハ?

イヤイヤ ソレモ ヌレギヌダ!



そう、犯人は、羅睺計都。太陽を喰らい月を蝕むのは、不死の神酒アムリタ(ソーマよりすごいのか!?)を盗み飲みしたため、ヴィシュヌ神に首と尾と二つに切り離れた蛇神、羅睺と計都のしわざ。

既に神酒を飲んでいた悪神は胴を切り離されても生き続け、いまも天空に潜んでいるのです。




古代インドの占星術では、天空にはナヴァグラハと呼ばれる九つの重要な天体があると考えられました。すなわち、「九曜」

*あ、ナヴァって、nav/nov/nevですね。そろそろNovember!



日月火水木金土に相当する七つの天体と、羅睺・計都。七つの天体は、それぞれ太陽、月、肉眼でも見える五つの惑星ですが、羅睺・計都は厳密には天体ではありません。しかし、天文学上で実際に存在する概念でもあります。


それは、月の昇交点Ascending node)と降交点Descending node)。いずれも、月の軌道(白道)が黄道面(地球からのみかけの太陽の軌道、すなわち地球の公転面)と交わる点のことです。


さえぎられる
輝夜姫レディー・ジョウガ
現代ではよく知られているように、日蝕は月が太陽と地球のあいだに入ることで、月蝕は地球自身が太陽と月のあいだにはいることで、太陽の光をさえぎってしまう、あるいは月に影を落としてしまうことでおきる現象です。



月の女神ダイアナ
しかし、古代の人は、こう考えました。太陽や月が隠れるのは、同じ大きさの真っ黒な暗黒星があり、それが太陽や月の上に重なっているからだ。あるいは、喰らっているからだと。


暗部の二人
こうして考え出された暗黒の天体が、インドでは羅睺(ラーフ/Rahu)・計都(ケートゥ/Ketu)と呼ばれました。二つあるのは、悪神の身体が二つにぶった切られたからだと。


黒い星?
スーハースーハー
いやいやアレじゃなくって



うーん。すごい。


これは、日蝕や月蝕が天球上の特定の点でのみ起きるということを、観察によって既に知っていたからこそ考え出された解釈だと言えます。つまり、蝕を引き起こす黒い星は、ほかの日月、火星、金星、木星などと同じく、目に見えないだけで普段から天空を廻っていると考えたわけです。


ゾロアスターの弟子
さらにおもしろいことに、このラーフとケートゥは、ヨーロッパの占星術ではDragon's head、Dragon's tailと呼ばれるそうです。うん、意味的にまったく同じ。インドから欧州へ占星術が伝わった証左でしょうか。


マギ
ただゾロアスター教でも巨大なドラゴンと考えられていたそうですので、源流は、ヴェーダやアヴェスターができる前、まだゾロアスター教やブラフミンの宗教が成立する前の、印欧祖語の時代かもしれません。


月の~♪
砂漠を~♪
アラビア占星術でも同じく巨大なドラゴンだとか。これはゾロアスター教のペルシアからアラビア人に伝わったのか、それとも…



あるいはさらにさかのぼって、メソポタミアやヘブライの文明によるものかもしれません。いずれにせよ、過去5000年ほどのあいだ、占星術の知識は世界中で流通していたということでしょう。


新月旗の
世界の人

ちなみにgene、またここでトンデモない仮説をひとつ。この「ケートゥ」という蛇の尾の神。ある日本語の俗語の語源になっているのではないか?と考えるのですが…いかがでしょうか??

九曜という考え方は、陰陽道や道教の占星術とも混交しながら、宿曜道として空海らによって密教の一部として日本に伝えられています。






赤い月。



愛用のNIKONの双眼鏡と、サブ望遠鏡として使っているKenkoのSky Explorerで、じっくりと観察しました。普段は銀色に輝いている月面が赤に染まり、ぼんやりと空に浮かんでいる姿は、いつみても美しいです。






メドゥーサのクビ
さて、よいこのみなさん、プレモのクビを切り離してはいけませんよ!?(figureシリーズはのぞく(笑))