2014年3月8日土曜日

その093 

デーモンズ!!!

・・・ではなく、ちびっこ軍団です。

「4770 ハロウィン タイガーと小悪魔」よりタイガーがWERETIGER役、小悪魔が文字通りLESSER DAEMON役。そしてGREATER DEMON役は超人気アイテムだった「5411 天使と悪魔(special plus)」より悪魔。

(今回は最後にDAEMONについて語ります)

これ、4770は実はニンゲンのこどもです。タイガーはマスクをとるとこどもが入っていますし、小悪魔もいかにも塗った感じの顔。


そうそう、欧米の悪魔観って、なぜか顔が赤いですよね。geneはSan Franciscoで一度ハロウィンの仮装行列に参加しまして、そのとき黒い革の服と黒い化粧で悪魔になったつもりだったのですが、みんな赤くて、おまえそれなんだ的な反応でした・・・赤オニみたいなものなのかな。

みんな背はちっこいですが、ヒゲのほうが貫禄があるのでGREATER DAEMON役を射とめました。

ホントのWizardryのGREATER DAEMONは、巨大な体躯に巨大なツノ、そして巨大な二枚の翼をもったバケモノ、というより怪獣のような存在です。しかもなかまを呼びます。

どこにそんなに入るんだよ・・・あのひとマスってそんなにでかいのか!?と突っ込みたくなるキャラの一つ。

DAEMONとDEVILの違い。

DAEMONはキリスト教以前の神や精霊が、キリスト教の概念の中で魔的な存在に貶められたもの。和訳するなら悪魔というよりも「魔神」。たとえばソロモンの72柱の魔神が有名です。

一方、DEVILはというと、キリスト教の中における悪魔。唯一絶対神であるヤハウェに刃向い堕天した者たち、すなわち堕天使こそが悪魔です。もっとも有名なのが、元 暁の天使にしてすべての堕天使の王ルシファー

しかし、ルシファーと共に戦ったとされるベルゼブブも、もともとは地中海東岸に居住していたペリシテ人の神バアル・ゼブルであるとされることから、魔神と悪魔とは中世において混同されていることがわかります。

ファンタジーゲームや小説の世界ではしばしば、DAEMONは約束を守らない。DEVILは契約を守る。などと言われますがこれはヘブライ起源の契約文化ゆえでしょうか。ソロモンの魔神もソロモンに契約で縛られて使役されているわけなので、この理解はちょっといいかげんな気がします。

Wizardryの世界ではキリスト教の概念がないため、本来はDEAMONとDEVILの違いはありません。第一作ではDEAMONのみが登場しましたが、後に和製作品でDEVILも登場しました。

21世紀のいま、世界一有名になったかもしれないDAEMONは、カリフォルニアはバークレー大学で書かれたオープンソースのコンピューターオペレーティングシステム「Free BSD」のマスコット、通称「FreeBSD Daemon」。これはUNIX系のオペレーティングシステムにおいてバックグラウンドで実行されているプロセスのことを"デーモン/daemon"と呼ぶことを由来としているそうです。

そしてそのキャラも、プレモのデーモンたちと同じく、三叉檄(トライデント)を携えています!これは、daemonプロセスをコールすることをforkと称することにちなんでいるとか。センスいい!

さて、ではなぜファンタジーのdaemonも三叉檄を持った姿で描かれるのでしょうか?ザンネンながらgeneはその描写の起源に迫ったことはまだないのですが、もしその発祥が相当古いとすればひとつ考えられるのは、daemonたちが海岸に棲んでいた部族の神と関係が深いという可能性です。

三叉檄は武器であると同時に漁の道具であり、ギリシアのポセイドントリトンこちらの演目に登場する海の女神アンピトリーテーとポセイドンとのあいだに生まれた子)、古代ローマで魚の姿を模した剣闘士ムルミッロと闘わされたレティアリィ、ヴェネツィア兵などが使用しています。つまり、三叉檄を持っているということは、daemonたちはもともと漁をする部族の神だった可能性が高いということ。たとえば、ペリシテ人フェニキア人は、地中海東岸に棲む海洋民族、「海の民」を形成した民族のひとつだったわけです。後にユダヤ教やキリスト教を産み出すことになるヘブライ人から見た異民族の神、異教の神が三叉檄を携えていたことは、おおいにありえそうです。