その164
伊藤若冲または
その弟子たちによる
『樹花鳥獣図屏風』
「原案はわしじゃ。
ゾウは好きなんじゃよ、ゾウは。」
「京にも来たのよ、このデカいのが。
出島の和蘭商人が連れてきたのかの。
ほかにも阿弗利加とやらいう地の獣や鳥がたくさん来た。儂はもう興奮してのお。
鶏や小さな虫や魚ももちろん好きじゃが、こういう見たことない鳥獣にはそれはそれは興奮する。」
「ケも抜けるほど興奮したわい。
そして、描いて描いて描きまくった。」
「これは最近できたメリケンという国の鳥獣らしい。」
「ここには北の獣と南の獣を両方描いてみようかのお。」
「ついつい夢中になるのお。」
「ゾウというのは仏典やら唐国の書物やらで読んだことはあったが、あれはいったいなんだ。
ハナか?それに大きな歯が生えておる。牙というてもトラや獅子とは違う。
観れば観るほど不思議じゃ。」
「このサルもまた不思議じゃ。まるでヒトのようじゃ。唐人がこれが猩猩じゃというておったがまことであろうか。たしかに酒を飲んだような赤ら顔じゃ。儂は酒は飲まんからわからんが。。。」
「やれクビの長い鳥がいたな。
駝鳥というたか。鳥のようで駱駝のようで。鶴とも鷺とも朱鷺とも違うな。
いやまて、ヒクイドリだったかな。」
「うにかふる というのもおったな。なにやら長い角があった。馬の姿に長いツノっと。
いや待て、しかしこの前みた生きたのは、もっと太っていた気もするが。。。
あれは要するに犀であろう?唐国の絵にも描かれておった、犀よのお。
いいかげんな絵はいかん。儂は観察の漢じゃ。」
「とつくにでは馬もデカいわ。
それにあの鷲はなんじゃ?まるで儂のような鷲じゃ。
ケがさっぱりないときた。」
「よく観て描こう。
なにせ一生に一度、まみえるかどうかという珍しい鳥獣じゃ。」
「この不思議さ、常なる描き方では伝わらん。
まるで夢を見ているかのようなこの感じ。
そうじゃ!ピクセルで描こう!
画面を小さな升目に区切って、その中に色を塗って、遠くから見れば絵になって。。。これなら儂の感じておる不思議さが伝わる。実際に観ているのか観ていないのかわからんようなこの気持ち。」
「ヒクイドリとヤマアラシ。というのもおったな。しかしプレモではおらんから仕方ない。SchleichとCollectaのは今回は入れないでおこう。」
「オールプレモじゃ。」
「この迫りくる迫力。」
「弟子たちに大きな屏風に仕上げさせよう。さてさて、うまく描いてくれるかどうか。まあ、お手並み拝見じゃな。」
「なーに、わしほど巧く描かずともよい。儂には儂の画風、弟子には弟子の画風。
儂は身近な鳥獣草木をじっくりとあきるほど観察して、そのまま描いた。いや、ホンモノ以上にホンモノらしく描いた。
しかしこの鳥獣は夢の世界のものじゃ。うつつと夢はおのずと異なる。夢には夢の描き方があろう。さてさて、楽しみじゃ。」
樹花鳥獣図屏風 原画
featuring 若冲 アンド
プレモ アニマル オールスターズ
featuring 若冲 アンド
プレモ アニマル オールスターズ