その115
ちょっとかぶってる!?ドラゴン軍の戦斧の戦士とちょっとかぶっているこの方、これこそ正真正銘の北方の戦士。
「3156 バイキングボート」より、ヴァイキングの戦士です。
このセット、例のマルコ=ポーロことフーダーズ会員番号3番が小姓として竜頭の船を漕いでいるものです。
→後半に北欧写真あります♪
騎乗バージョンも。
ホントは「3158 馬とバイキング」がオリジナルで騎乗しているヴァイキング。あちらはピンクの服にピンクの盾、ヘンなヒゲと揃った超モード系バイキングですが、3156は武骨で実直なおじさん。
オスロの博物館より |
『ヴィンランド・サガ』の冒頭なんかを読んでいただけるとイメージ湧くかと思うのですが、ドラゴンって、海にも出る、山にも出る。山の洞窟で宝を守護している。これ、ヴァイキングの一団にありえた話かと思うのです。
あの船、実は海をゆくだけではなく、なんと、かついで陸を歩いたりしていたとか!
そう、ヴァイキングの活躍範囲は北欧の海、バルト海や北海だけではありません。西はブリテン島、イベリア半島、シチリア島。東は黒海からウクライナの平原。ライン川、エルベ川、ドナウ川、ヴォルガ川などの大河川。フェニキア人やギリシア人、ローマ人が去り、そしてサラセンが活躍する前後のヨーロッパ世界を広くまたにかけていました。
ロシア民族の始祖、ルス族も、スカンディナヴィアから来たヴァイキング(ヴァリャーグ)の一団と在地のスラヴ系豪族の融合によって生まれたとも考えられています。
それどころか、アイスランドを越え、グリーンランドを発見し、はじめてヨーロッパ側から北米大陸に渡ったのもまた、彼ら。かつてはトンデモ説扱いされていましたが、現在では遺跡の発見もあり、ヴァイキングによる新大陸植民はいまや定説。ヴィンランドとは、レイフ・エリクソンに率いられた彼らが緑豊かで葡萄(vine)の育つ新大陸(の一部)につけた名称です。
そんな彼らは各地で商売や農業、牧畜に従事し、傭兵のような働きもし、時にはぶんどりものも手に入れ、、、
その広い活動を可能にしたのは、海や河川を自在に駆け回り、水がなければ担いで次の河や海へ出ることのできたあの軽量かつ簡素な船のおかげ。そんな彼らが夜な夜な、竜の頭の船をかついで山を越えているところを現地の人が眼にしたら・・・「あ、あれは、ドラゴンだ!!」・・・となるのも想像に難くありません。
そして勇気ある土着の若者がその後をつけていったとして、彼らが隠れ家にしている洞窟を発見して、留守中にこっそり入ってみると・・・そこにはお宝の山が!!
地域によっては、戦を生業とする彼らを忌み嫌い"退治"したところもあったかもしれません。そうした"勇敢"な人たちが、ドラゴンスレイヤー、つまり竜ごろしの英雄として、富と名声を手に入れた。そんな昔話も考えられます。
あるいは真のドラゴンの戦士 |
ドラゴンは炎のブレスを吐きますが、かつてギリシア文明=東ローマ帝国は、アジア世界から学んだ技術をもとに、船舶に取り付ける火炎放射兵器(通称 ギリシア火薬)を有していました(こ、こえーーー)。 時はちょうどヴァイキング登場前後。東ローマとアラブ世界の戦いでこの種の兵器が使われたようです。
その後、東地中海から黒海方面へ進出したヴァイキングの一派が、この種の兵器を取り入れたことがなかったとはまだ言えないでしょう。あるいは、ヴァイキングの竜頭船とギリシアの炎を吐く船の物語が混同され、炎を吐くドラゴンになったとも考えられます。
現代の
スカンディナヴィア
ノルウェー オスロ
1990年代
Jeff Millsもプレイ♪
このブキミなのはトロール
ううーむ
ひとびとが交差する街 オスロ
犬も交差する街 オスロ
美容室が多いのがオスロの街
部屋や家具だけでなくみずからの美しさにも気を配ります
オスロのシンボル的彫刻・・・
怒れる赤ん坊・・・
ううーむ
おれは半島を出たガワだから おしゃれとか よくわからねーよ |
ジョークか本気かわかりませんが、あるノルウェー人の方から聞きました。ノルウェー人はいまわずか400万人ほどしかいない(注:実際には2014年現在約500万人だそうです。)。かつてスカンディナヴィアでは疫病が猛威を振るった。半島の住民は遺伝的な多様性に欠けていたのでわずか一種類の病原菌に多くが命をうしなった。しかし生き残った人々は世界に出ていき、世界にひろがり、世界の人々と交配することでスカンディナヴィアの血を各地に遺した。いまここにいるわずかな数のわれわれはヴァイキングの子孫ではなく、ヴァイキングとして半島を出て行かなった人々の末裔だ。(注:実際にはヴァイキングの活動をしていても最終的には半島に戻った人も多くいるはずです。ヴァイキングは一種の季節労働。半島で農業ができる短い夏には本拠地に戻っていたそうですし。)世界には400万人どころではないわれわれの同胞がいる。
疫病で消えたノルディック、疫病から旅立ったノルディック、そして疫病を乗り越えこの半島に残ったノルディック。それでもわれわれはその経験から、狭い世界にとどまり続けるリスクをよく理解している。だから、常に世界をみている。新大陸へ移民することもいとわない。確かそんな話でした。