2014年7月6日日曜日

その189 

大海原をさまよっていた謎の若者シンドバッド。怪鳥ロックと会長シンドバッドに出逢い、謎の黒い液体の正体を突き止めるべく、魔法の絨毯で空をゆく。その秘密の製法は手に入るのか!?

老人「おー、あやつじゃあやつじゃ。」

若者「あのドロボウヒゲのおっさんか?あいつがこの液体を作れるのか?」

老人「いやいや、そうではないが、あやつならこれを読めるじゃろ。なにせホンモノの魔法使いらしいぞ。」

若者「マジか!?」

トリ「(単にアラビアの人を探せばよいのでは??なぜここまでわざわざ…!!!というかあの方は!!!)」

老人「おーい、おーい、サーモンさんよ、わしを覚えとるか?」

男「…。サーモンではない。ソロモンだ。何度言えばわかるかな、このじじいは。」

若者「え?ソロモン?」

男「おお、ご存じか、若いの!」

若者「あのスキーとかスノボとかスポーツギア作ってるとこ!!」

男「それはサロモンじゃ!まったく。」


男「わしはソロモン。ヘブライの導き手、偉大なるイスラエルの第三代の王にして魔術師であーる。かっこいいだろ?

「5295 ランプの精と魔術師(special plus)」とも言われておるぞ。」

若者「ふーん。でもFounderじゃないんだね。こっちの会長はFounderだぜ!どうだ!まいったか~」

老人「おいおい、なぜおまえが威張るのじゃ…。」

トリ「王様、その後ろの煙たいのはなんですか?」

ソロモン「おお、これか?これは魔神じゃ。おまえさんたちの言葉でいえば、ジンじゃな。わしにはこうした僕が72柱もおる。ちなみにこの者の名はべリアル。どうだ、そっちこそ参ったか?」

老人「ええい、お前さんはいっつもいっつも自慢ばっかりでいかん。ワカゾウのくせに態度がでかいのもいかんな。少しは老人を敬わんか。」

ソロモン「…。いやご老体。実はわしのほうが軽く1,500歳は年上でな…。」

老人&若者&トリ「な、何~!?あんたまさか、不死者か!?」


ソロモン「いや不死ではないがな。時空を超えるものとでも言っておこうか。それよりおぬしたち、いったん何の用だ。特に老人よ。また舞い戻ってきていったいなんだ?」

老人「そうじゃそうじゃ!忘れておったわい。指輪をくれんか。このランプは返すゆえ。」

トリ「(や、やっぱりランプだったんだ...なんでそれに飲み物を…。)」

ソロモン「なに?おぬし、それを選んだのはおぬし自身だろうが。いまさらダメだダメだ。」


老人「いやそれはそうじゃが…。そもそも、行き倒れておったおぬしに水をやって助けてやったのはわしじゃろうが。そのお礼をするのに、どちらか選べ、どちらかはニセモノだとは、おぬしちょっと…もしかしてケチか?」

ソロモン「失敬な!」

老人「わしはランプには魔神が入っている"かも知れん"と言われて、いいなーと思ったんじゃが、これはただの古ぼけたランプじゃった。それならまちがいなく百の言葉、千の言葉を聴ける指輪のほうがずっとよかったわい。」

ソロモン「うーん…。いまさらだな~。」



若者「いや、わかる!おっさん、いやソロモンさんの言ってることもわかるよ!このじじいのほうがせこいなーって思うよ!」

老人「何!シンドバッドよ、同じシンドバッドのわしをうらぎるのか?」

若者「いやー、そうじゃねーけど、やっぱり勝負は勝負、負けは負けだよ、会長。ムリ言っちゃあソロモンのおっさんもかわいそうだよ。」



ソロモン「若者よ、いさぎよいな。ただし、おっさんは余計だ。」

老人「いやいやすまんすまん、わしがわがままを言いすぎたな。指輪がどうこうはよいのだ。わしはただ、わしのようにわからん言葉があるだけで苦労するなんてことは、この若者にはさせたくなくってな。ほれ、言葉がわからんだけで人はいさかうものじゃろう。」

若者「か、会長…。」

ソロモン「老人よ、さすがに長く生きている方はよいことをおっしゃるな。このソロモン、心を動かされたぞ。そなたの望みは指輪なのか?それともそのランプに魔神が入っていればよかったのか?ほれ、このランプや壺のように。」

老人「いやいや、わしがまちがっておった。欲はいかんな。欲張って手に入れたものは儚いものじゃな。

わしらはただ、この紙を、この文字を読みたくてな。どうだ、ソロモンどのよ、あらためて頼む。これを読んではくれんか。」



ソロモン「おろ?おまえ、もしや、ルクか?しかも飛んでここに来たということは、あの時のあのルクか?」

老人「わ・し・の・は・な・し・を・き・け・~!!!!」



若者「あれ?ロック、こいつの知り合いなの?ルクってなんだ?ロックのことか?あ、このおっさん訛ってるのか?」

トリ「…。ソロモン王。覚えておいででしたか。それは光栄の極み。おおせのとおり、わたしはルク。かつてあなたに、大空を翔る力を与えていただいた、あのルクです。ああ、お懐かしい。」

ソロモン「やっぱりあのルクかー!元気そうだな!」

トリ「はい。おかげさまで、なんと大洋の東の果てまで飛べるほとですよ。むこうでキウィとかいう珍しいイトコに出遭いました。」

ソロモン「そうかそうか、この老人と若者はおまえの友達か。それなら無下にはできんなあ。あのときはわしも世話になった。」

若者「ロック、おまえソロモンさんに何をしたんだ?」

トリ「ええ、ソロモンさんが行き倒れていたので。果物を採ってきてあげました。」

老人「あんたなんでいっつも行き倒れとるんじゃ!ちゃんと遠足の準備をしなされ!おやつは200ディルハムまで!!」


ソロモン「バナナはおやつに入るかな?」

老人&若者&トリ「(この人、意外とノリいいよね。)」

若者「あ、もしかしてそのぐにゃっとした剣、バナナっぽいなとか思ってる?」

ソロモン「ワハハ!バレたかー!」

老人&若者&トリ「…。」




ソロモン「はっ!いかん!とんだ闖入者に惑わされて時を費やしてしまった。こうしてはおれん。あやつがわしを呼び出し追ったのだっ。」

若者「あやつ?」

ソロモン「そう!あの石頭め!きょうこそ決着をつけてくれるわ。そうだ、おぬしたちも来い!」

トリ「え?王よ、どちらへ?」

老人「あの、、、これ、読んでくれぬか…。」

ソロモン「ええい!そんなことは後じゃ!とにかくついてこい!!」

若者「うわー!さすが王サマ!オレ様よりもオレ様だ~」


(ふたたびつづく)