その190
ソロモン「お!あやつがいたぞ!」若者「誰だ?あれ?ソロモンさんと同じ、星の衣装だぞ?」
老人「あ、あれは!」
ソロモン「ほほう、さすがペルシアの老人、お気づきか。あれはかのザラスシュトラの弟子、東方の賢者、「4594 魔法使い(special)」よ。」
トリ「(言うまい。ジョースター家の人ですかとか言うまい。期待には応えまい。)」
ソロモン「待たせたな、えーと、名はなんだったかな。」
トンガリ帽子の老人「…。ちゃんと手紙に書いたのに...わしは…わしは…うーん、えーと、うーと。」
シンドバッドx2「こらーーー!」
(あ…背後に
謎の人が…)
謎の人が…)
トンガリ帽子の老人「まあ、名前などどうでもよいわ。わしは偉大なるザラスシュトラの弟子にして名も無きマギじゃ。」
若者「おっさん、ヨーロピアンじゃないのか?」
トンガリ帽子の老人「うむ。確かにわしはヨーロッパお伽話的なシリーズに出てくるプレモじゃ。しかしこの顔色を見よ。ターバンを見よ。わしは欧州の人間ではないんじゃ。
そしてこの☆彡。ベツレヘムの星を求めたあやつらと同じ東方の出身じゃ。」
ソロモン「そんなことより、用事はなんだ?」
トンガリ帽子の老人「うむ。この前話したこと、やはり得心がいかん。もう一度議論したい。」
ソロモン「またあれかー?しつこいなあ!マジックフード、人々を元気にする食べ物と言えば、マナに決まってるって言っただろうが!」
トンガリ帽子の老人「いやいや、しかし、ハオマの効力もすごいんじゃよ。ことに、高原のサカ・ハウマヴァルガーのもたらしてくれる草から採ったものは並大抵ではない。気分溌剌、翼を授ける、24時間戦える感じなんじゃ。」
ソロモン「いや、だからそれはアブナイって。イマドキ24時間戦うのはしんどいし、それに、エフェドリンだそうじゃないか。現に、心の臓に障害が出た者もいるのだろう?
あれは、交感神経系に働きかけて活性化するから、確かに循環器系の調子を整え、脳に清い酸素をたくさん送ることができるし、脳神経系の活動も活発化させる。それはマナも同じなわけだが、ハオマはいかんよ。ハートビートに影響が大きすぎる。その点マナは、ダイレクトに脳に効果があるからずっとよいのだよ。」
トンガリ帽子の老人「それは誤解じゃ。それにそのマナというのはいわゆるmonoatomic goldだというじゃないか。怪しいことこの上ない。エセじゃ。創り話じゃ。」
ソロモン「どっちがだ。ハオマは、詩人の天啓を強めるとか言うではないか。つまりはあれだろう?飛ぶ薬なんじゃないのか?マズいぞそれは。」
トンガリ帽子の老人「違う、違うぞ!このわからず屋め!」
ソロモン「マナは、われらヘブライの民を導き、飢えから救い、砂漠を越え、新たなる土地を与えてくれた聖なる神の糧。あんな滅びそこないの怪しげな草とは一緒にならんわ!」
トンガリ帽子の老人「失敬な!あれはわれらのみならず、遠く東方の中原とやらでも薬になり、果ては遠き未来、西の果ての砂の地で活きる長袖の民の糧ともなるのだ。ペルシア、インドだけの話ではないのだ。神々の糧にして、精神と身体を強健にしてくれる、宝なのだ。」
シンドバッド老人「えーーーーい!やめんか!サッパリ話がわからんわ!しかも怪しすぎるわ!」
ソロモン&トンガリ帽子の老人「うるさい!いまいいところなんだ!こどもは黙ってろ!」
シンドバッド老人「こ、こ、こ、こどもじゃと~!?」
若きシンドバッド「まあまあまあまあまあまあ。ご老人たち、落ち着いて。」
老人たち「年寄り扱いするな、ワカゾウよ!」
若きシンドバッド「…。せっかく取り持とうとしたのに。いい歳のじいさんが揃ってケンカすんなよな。いいじゃないか、どっちもいい食べ物なんだろ?それに会長が持ってるのもスゴイんだぜ!」
ソロモン「う、うむ、すまん。ちと大人気なかったかな。」
トンガリ帽子の老人「そ、そうじゃな。わしはこういう論争が楽しいだけでな。ケンカするつもりなどなかったのじゃよ。ハオマもすごい、マナもすごい。それでよい。」
ソロモン「そうだな、ここはひとつ、和解しようか。」
トンガリ帽子の老人「そ、そうだな。わしも強く言い過ぎた。見解の中身には自信があるが、言い方も大事じゃな。」
ソロモン「いや、こちらこそ。」
トンガリ帽子の老人&ソロモン「なんだかんだ、わしらは同じ理想を追い求める学究の徒。
些細なことで争ってはいかんな。若者たちにしめしがつかんわい。
ここはひとつ、握手じゃ。Shake handsじゃ。」
若きシンドバッド「ふー。ひやひやさせられたぜ。
で、この文字はどうなんだ?この黒い飲みもののこと、何かわかるのか?」
ソロモン&トンガリ帽子の老人「それならわれらよりも、ほれそこにいるザンジバルの魔術師が詳しいはず。」
シンドバッド老人「あ!おまえは!」
(まだまだつづく)